今日は昨日に引き続き、民生文教常任委員会の行政視察です。山口県山口市において「介護予防及び認知症関連施策について」視察。
芦屋市は高齢化率が高い傾向にある
芦屋市は、同じような風土である阪神南地域の各自治体と比較しても高齢化率。すなわち65歳以上人口の割合が高い部類に入ります。
| 人口 | 高齢者人口 | 高齢化率 | |
| 神戸市須磨区 | 155,745 | 51,508 | 33.07% |
| 神戸市長田区 | 94,677 | 31,113 | 32.86% |
| 神戸市垂水区 | 211,789 | 65,136 | 30.76% |
| 芦屋市 | 94,273 | 28,609 | 30.35% |
| 神戸市兵庫区 | 109,274 | 29,945 | 27.40% |
| 尼崎市 | 457,237 | 125,084 | 27.36% |
| 神戸市東灘区 | 209,993 | 53,929 | 25.68% |
| 神戸市灘区 | 131,764 | 33,805 | 25.66% |
| 西宮市 | 481,134 | 119,198 | 24.77% |
| 神戸市中央区 | 139,665 | 32,650 | 23.38% |
- 令和6年5歳刻み人口(芦屋市)
- 町別年齢5歳刻み住民基本台帳人口(西宮市)
- 令和6年尼崎市の人口(町丁・年齢別世帯数及び人口)[3月末データ](尼崎市)
- 住民基本台帳に基づく人口(町丁目別・年齢別)(神戸市)
高齢化率が高いのには理由がある
芦屋市は地価が高いという街の特徴があります。この特徴のために、若い世代よりもリッチシニアの方が終の棲家として選ぶ傾向が強い。よって、他市よりも高齢化率が高く出るのは当然です。
芦屋市の地価の高さはある意味街の強みでもあります。地価が高いというのは、住み心地がよく住環境として優れていることを証明しています。地価が下がるということは、住宅都市としての芦屋市の強みを失うことにも繋がりかねない。痛し痒しというか、街の特徴から生じている人口構成なので、嘆いても仕方ない。
高齢化率が高い=ダメなこととは思いません。ですが、どれだけ健康な方でもいずれは認知症になりますし、介護を必要とする身体状態になります。高齢化率が高く出る傾向にある芦屋市としては、他市以上に介護予防や認知症対策に力を入れる必要があると思っています。だから、視察として選んでいます。
山口市の取り組みについて
介護予防出張講座
運動の講座など芦屋市でもやっているものはありますが、山口市では、様々な団体に委託することで、以下のような多様な出張講座をやっています。
- 転倒骨折予防
- 認知症予防
- お口の健康
- 栄養改善
- 生活習慣病予防
- 排泄トラブルへの対応
- 高齢者の健康管理(脱水症予防、感染症予防等)
- 薬との上手なつきあい方
- 関節症の方の生活の工夫
- ロコモティブシンドローム予防
- 介護予防事業等に関すること
参加者人数としてはもう少し多く来てくれたらと評価しているようですが、受講後のアンケート結果を見る限り、93%の人が「理解できた」と回答。また73%の人が「今後何かに取り組みたいと思うきっかけになった」と回答しており、講座の有効性については評価をされています。
ほっと安心SOSネットワーク事業
いわゆる認知症の方の見守り事業ですが、大きな特徴がQRコード付きのラベルシールを配布。服など見やすいところに貼付してもらっているということです。
QRコードを読み込むと、ネット上の伝言板が表示されます。保護者の方とのやり取りもできるという仕組みだそうです。
「QRコード付きのラベルシールを貼っている人は注意してあげないといけない」ということの理解が進まないと、なかなかQRコードを読み取って対応ということにはならないと思います。ただ、類似の取り組みであるGPS機器の設置は「誰が設置するの?」という条件があったり、そもそもコストがかかります。ラベルシールであれば、比較的安価でかつ、よく着る服やよく履く靴に貼り付けておけば比較的ハードル低く見守りができるとは思います。
何となく、もっと目立つラベルシールだったらそのシールの意味を知らない人でも「あっ」と思えるのではないかなと思います。そういうところは改善しながらも検討しても良いと思いました。
認知症カフェ
芦屋市でもやっていますが、例えば全小学校区に網羅的にあるか?と言われるとありません。カフェと言いながら、別に憩いの場としてのものだけではなく、専門職が常駐しており専門的な相談ができるような場所という位置づけも強いため、参入障壁は高めです。
芦屋市において、これ以上増やすというのは難しいのかもしれません。でも、そもそも芦屋浜や南芦屋浜においては座っておしゃべりできるようなカフェスペースはほとんどありません。
ぶっちゃけた話、めっちゃ美味しいコーヒーである必要はないんです。ちょっとゆっくり座れて、おしゃべりできたらそれで充分。かつてはダイエーにフードコートがあって、多少はゆっくりできたんですが今はそれもなく。
認知症カフェは月1回とかの開催になるので、それ以外の日はカフェスペースとして使いますよ的な施設が芦屋浜・南芦屋浜にできたら良いのになと思うところ。
認知症サポーター養成講座
認知症サポーターキャラバンによる市町村別調査によると、令和6年9月末時点での芦屋市の認知症サポーターの数は13,470人。人口に対する割合としては14.21%。山口市では18146人で割合は9.678%。
サポーター養成状況の詳細(令和6年9月末)[市町村別](認知症サポーターキャラバン)
比率としては芦屋市の方が優秀です。でも、山口市で注目したかったのは小学生~大学生の受講者がいるという点です。特に小中学生の場合、祖父母も認知症や要介護認定を受けるような年齢じゃないことが多いです。
認知症ってテレビとかで取り上げられることも多いから、子どもでも知識としては知っていると思います。でも、家族とか身近なところにいないと、実感はできません。それは大人も同じ。家族はどんだけきついか…。
子どもたちに知ってもらうというのは、とても意義があると思います。色んな人がいるということを若い間に知るのはとてもいいことです。芦屋市でも、小中学生もどうぞとしていますが、教育委員会と連携しながらもっと力を入れるべきだと思います。
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