今日から2日間、民生文教常任委員会の行政視察です。初日の今日は福岡県みやま市のバイオマスセンター「ルフラン」にてごみ処理についての視察。
芦屋市は燃やすごみが多い
芦屋市は、燃やすごみの量が多いです。環境省が出している統計結果より、令和4年度と令和3年度の阪神間各市の1人1日当たりの排出量を見てみます。芦屋市は平均値よりも排出量が多くなっています。
1人1日当たりの排出量(g/人日) | ||
令和4年度 | 令和3年度 | |
神戸市 | 903 | 920 |
尼崎市 | 852 | 871 |
西宮市 | 851 | 915 |
芦屋市 | 897 | 933 |
伊丹市 | 817 | 836 |
三田市 | 811 | 838 |
川西市 | 819 | 844 |
平均 | 850 | 879 |
日本も夏が暑すぎてクーラーがなければ死ぬレベルなのは言うまでもないです。温暖化は待ったなしのところまで来ているように思いますし、芦屋市のごみ量を減らさないといけないというのは喫緊の課題だと思っています。これに異論を唱える議員、会派はありません。
だからこそ、民生文教常任委員会の政策テーマとして選んでいますし、今回の視察先にもごみ処理場を選んでいます。
みやま市は10年で燃やすごみ量を半減させている
みやま市では、2012年には10249トンを排出していた燃やすごみについて、2023年には4952トンにまで減少させています。
ゼロ・ウェイスト宣言がこれに大きく寄与しているのかと思っていましたが、実際にはこの宣言は職員に対して「2050年には燃やすごみゼロを目指すから!」というビジョンを示すための位置づけのようです。
実際には2018年から始めた生ごみの分別、資源化が大きな効果を出しているとの分析。生ごみの資源化は、バイオマスなどの仕組みが有効というのは分かっていました。ですが、芦屋市の土地でそういう施設ができるのか?というのは半信半疑でした。
その疑問は別に根拠があったのではなく、なんとなくバイオマスって聞くと、大規模な工場的な施設があって初めて実現するような感じがするからです。
生ごみを資源化
みやま市においては、発酵発電と液肥をつくることで生ごみを資源化しています。同市は農業が基幹産業であり、液肥の需要も非常に高くなっているそうです。近年では、液肥の作成が需要に追い付いていない状況さえも見られるとのこと。
これは、液肥自体は無料提供(散布車等の提供には負担金あり)にしているところが大きいのだろうと思います。同市では、生ごみから作った液肥で作物を作り、それを食すことで循環型社会を実現しています。
芦屋市の場合、専業農家がありません。液肥をつくったとしても持て余し、それがまたごみになります。近隣市の農業が盛んな自治体に持っていくということも考えられなくもないですが、他市でも肥料は余っている状況であり、コストをかけて運搬し、使ってもらうのは現実的ではありません。
芦屋市では難しい部分があるのかなと思っていましたが、発酵発電だけでも良いんじゃないですか?とご示唆いただきました。芦屋市では、下水処理場で汚泥を処理していますし、生ごみと汚泥を用いた発酵発電。これなら検討の価値はあるかもしれないなと思いました。
生ごみをバケツに捨てる形ならカラス対策にもなる
カラス被害がえぐいっていうのは、芦屋市民の人なら誰でも知ってることです。今は燃えるごみの袋の中に生ごみを入れて、ネットをかぶせるというのが一般的な対応です。
みやま市は生ごみだけをバケツに入れてごみ出しします。燃やすごみを全部ボックスに入れるとなると、設置が難しいステーションもあります。でも生ごみだけなら…ごみ袋に入っていたものがバケツに入るだけでもありますし、芦屋市でもできるんじゃないかなという気もします。
結構密閉するフタを使っているようで、カラスでは開けられません。臭いも完全に抑えられないものの、そんなに気にならないレベルにまで落ちるそうです。生ごみがなければカラスを気にする必要もなく、芦屋市民の多くが悩ませられているカラス被害問題の解決にも寄与する取り組みですから、意義は大きいなと思います。
分別を強制しない
そして、分別の考え方として大きいというか目からうろこだったのが「別に市民に強制してないんです」ということ。それは一々ごみをチェックしていたら時間とコストがどんどん増えてしまうから非効率というところも大きいと思うんですが、肩ひじ張らないところがハードルを下げているように感じます。他の議員も、それはいいですねと言っていました。
まあ、最終的には燃えるしねっていうところはありますから、芦屋市の分別も究極的には強制はしてません。ごみ袋を開けてチェックして、分別されてないから置いていきますなんてことはしてません。
ですが何となく、分別を進める≒市民に分別を強いるという固定観念がありました。でもそうじゃなく、できるところからやればいい。強制ではなくて、ふわっと分別しないといけないよね~という空気感を醸成していくというのは、市民目線で見ても無理がなくていい。
分別に協力してくれた人にインセンティブ
強制はしないと言いながらも、指定ごみ袋の金額について大容量の袋は高く。小容量の袋は安くすることでインセンティブを付けているそうです。
これは理にかなっているように思います。分別を進めて、燃やすごみ量を減らせばごみ袋の容量も小さく済みます。そうなると、袋代の経済負担が変わってくる。
芦屋市でも、分別に協力してくれている方はたくさんいます。が、特にインセンティブはありませんので、将来への義務感でやってもらっているという状況。みやま市のようにインセンティブを付けるというのも、分別を進めて燃やすごみを減らすぞという意思表示としてはありだと思います。
その他資源化のための取り組み
草木の分別
草木の分別も進めています。芦屋市も、ごみステーションを見ていると草木ごみの袋もかなり多く見かけます。もろに資源化できるものではありますから、これも燃やしちゃうのはもったいないなと。
自前でやってるのかと思って、どうやってるのかなと聞くと民間事業者に委託してますとのこと。それなら芦屋市でもできるやんね。できるところからやったらいいと思います。
紙おむつの分別
小さいお子さんのいる家庭や保育園。介護施設においてはかなりの量の紙おむつごみを排出します。紙おむつは汚物がついているため、資源化は難しいとされていましたが昨今では技術革新が進み、ちょっとぐらいの汚物なら資源化可能となっています。
臭わないすごい袋もあるんですが、1枚単価が高いものなのでどうしても使用済み紙おむつを集めると臭いが伴います。主に市有地にステーションを設けているそうですが、なかなかハードルは高そうです。また、資源化するのは主に民間事業者の協力を仰いでいますが、兵庫県でそれができるのかはちょっと分からない。できるものは何でも資源化しようとする姿勢は大事だと思いますけど。
紙ごみ等を入れる「たからばこ」
紙ごみ、段ボール、衣類等の資源ごみを入れる「たからばこ」というのを設置しているそうです。これは月1回の収集に加えて24時間ごみを捨てられるよというコンテナ的なもの。
こういう箱を設置していると市民が見たら「あれなんなん?」と思うと思います。注目を集めるような施策を市内で展開することで、分別されづらい雑紙も、資源なんだよーとPRすることにも繋がると思います。24時間捨てられる利便性もそうですが、広報という観点でも良いなと思いました。
芦屋市での実現可能性は?
個人的に一番ネックと思っていたのが立地の問題。ご存じの通り、芦屋市にはまとまった土地があまりありません。ですが、今日、実際に来てみて感じたのは「意外とこじんまりしてるな」ということ。
芦屋市の環境処理センターの敷地面積は18500m²。一方、ルフランの敷地面積は6339m²。また、うち、液肥のための施設である消化液貯留槽が面積的に大きなウエイトを占めているため、液肥をつくらずに発電するようにすれば、芦屋市でも対応できる可能性はあるのかなと思います。
神戸市との広域化については、確定はしていません。ですが、市内に焼却炉を持たないという方向性は長い目で見た場合は避けられないと思います。市の方向性やビジョンとして、コスト削減だけじゃなく、みやま市のように、燃やすゴミをゼロにする!というようなもっと大きなビジョンを示すべきと思います。
みやま市の職員さんの話を聞いていて感じたのは、仕事楽しいんだろうな~ということ。進むべき方向がはっきりしていますし、仕事による社会の変化も感じられる。やりがいがあるんだろうなと思いました。芦屋市がそうじゃないとは言いませんが、モチベーション高く業務に当たってもらえるような環境づくりも必要だなと感じました。
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