今日は決算特別委員会民生文教分科会。二日目です。以下の費目を審査しています。
決算種類 | 款 | 項 |
令和5年度芦屋市一般会計決算 | 4款 衛生費 | 1項 保険衛生費 |
2項 清掃費 | ||
3項 上水道費 | ||
5款 労働費 | ||
6款 農林水産業費 | ||
7款 商工費 | ||
10款 教育費 | 1項 教育総務費 |
2日では終わりませんでした。続きは明日行います。まあ、民文は基本的に3日がけでやらないといけない分量になってます。3常任委員会で審査内容をもう少し平準化してくれたらいいのになっていう気はしています。
僕は座長なので発言は控えましたが、どうしてもっていうところは発言しました。そこを中心に簡単に。
猫の「TNR活動」の話
市では、野良猫の去勢・不妊手術にかかる費用を助成しています。いわゆるTNR活動と呼ばれるものです。
猫は人間などの哺乳類と異なり、交尾すればほぼ排卵する交尾排卵です。そして、一度の出産で4~8頭ぐらい産みます。なので、野良猫を去勢・不妊の処置を行わずに放置した場合、野良猫はすさまじい速度で増えていきます。
また、猫は動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)で定められる愛護動物です。同法第四十四条で定められているとおり、愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた場合への罰則があります。よって、殺処分を進めていくのもハードルがある。
でも野良猫が増えたらフン害やアレルギー、トキソプラズマなどの関係で困ります。なので、とりあえず「これ以上増やさない」という観点から、TNR活動が行われ、市も助成金を支払っています。
地域猫の難しさ
去勢・不妊処置を行った猫は、地域猫として地域で適正に管理されるのが理想です。が、それには地域の理解が必要です。しかしながら、実際には猫アレルギーもありますし、妊婦や小さいお子さんのいるご家庭においては、猫がもたらすトキソプラズマ症もとても怖い。皆が皆、地域猫として管理しようやっていうことにはならないです。むしろ、うまく地域猫として機能しているケースの方が少ないぐらいなんじゃないでしょうか。
TNR活動をされているのは、団体や個人です。地域との交渉となると住民同士の話し合いになります。どうしてもトラブルになりますし、難しい部分もあります。市としては、助成金を出したら終わりということではなく、地域猫として移行できるようなサポートも必要だろうと思います。
そもそも悪いのは人間
野良猫のほとんどは、人間が去勢・不妊せずに飼った結果や無責任な餌やりを行った結果、あるいは捨て猫です。いわば、人のエゴによって増やされたものであり、根本の責任は人間にあります。
ここは問題だよねっていうことで、動物愛護法が改正されブリーダー・ペットショップが管理する犬・猫については、個体識別のためのマイクロチップの装着することが義務化されています。ただ、飼い猫については努力義務。
神戸市では、『神戸市人と猫との共生に関する条例』という条例をつくり、飼い主の責務として以下のことを定めています。
- 所有する猫がその命を終えるまで適切に飼養すること
- 飼い猫であることを明らかにするための措置を講じること
- 人に迷惑を及ぼすことのないよう努めること
特に罰則規定はありませんが、条例があることで自治体としては条例に基づいての周知啓発ができるようになります。
特に、無責任な餌やり(餌皿を放置して片付けないなど)を行っているケースは市内でもまだまだ散見されます。そしてこういう人たちは総じて夜に餌やりをやっています。後ろめたい気持ちがあるからこそ、夜にやっているのだと思います。餌やりをしている人たちの行為を改めてもらうためにも、条例も含めたもう一段先の施策を検討してほしいと思います。
ヒトパピローマウイルスの話
いわゆる子宮頸がんワクチンですが、かつてセンセーショナルな副反応?が報じられた結果、日本としては積極勧奨を行わないという措置を講じました。ただ、色んな調査を行ったところ、種々の副反応はワクチンとの因果関係が認められないということが分かりました。
なので、今では積極的な勧奨を行うことという方針になっています。しかし、積極勧奨を控えていた頃に適齢になっていた人についてはワクチン接種の機会を失っていた人もいます。そうした人に対して、キャッチアップ接種を実施してきました。
ワクチン接種だけでは不完全で、検診が必要
まだ感染していないウイルスの型があれば、接種によって抗体がつくられ、予防となります。しかし、そもそもヒトパピローマウイルスというのは性交渉をした男女はほとんどが一度キャリアになります。普通の人は免疫で殺しますが、まれに免疫が殺せないことがあります。それを放置するとやがて癌化します。
なので、キャッチアップ接種をしたとしても、もう既に性交渉による感染が発生している場合、効果を発揮しきれないということもあります。まあこれはキャッチアップ接種に関わらず定期接種もそうなんですが全ての型のウイルスに対応している訳ではないため、子宮頸がんを完全に撲滅しようと考えるとワクチン接種と両輪で子宮がん検診を実施していく必要があります。
子宮頸がんは、ウイルスに感染してから癌化するまでは相応の時間を要し、検診を行うと前兆が見られるそうです。だから、定期的な検診を行っていれば癌化を未然に防ぐことも可能だそうです。子宮頸がんが撲滅可能な癌と言われているのはそういうところにあります。
性教育は臆さずやるべき
特に女性は、子宮頸がんになると亡くなってしまうことも然ることながら、生きられたとしても、子宮の摘出が必要になることもあります。結果、妊娠できなくなってしまう可能性というのは極めて高いです。既に出産を経験し、お子さんをお持ちの方はまだしも、妊娠経験のない女性の場合、本当につらいものだと思います。
性交渉を行ったほとんどの男女はヒトパピローマウイルスのキャリアになるということ。また、ワクチン接種と検診を行うことで、子宮頸がんを未然に防ぐことができるということ。これらについては性教育として、しっかりと子どもたちにも行ってもらいたいと思います。
この国は、性教育はとかく敬遠される風潮があります。でも、性教育は恥ずかしいものじゃなく、子どもたちが自分自身の身体を守るために必要なものです。教育機関や家庭においては、臆さずにちゃんと伝えなければならないと思っています。
例えばHPVに関する性教育は、女性だけが当事者ではありません。男性も性交渉によってキャリアとなり、中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんを引き起こす可能性もあります。男性も当事者です。男性も当事者であることを理解するためにも、保健センターが教育委員会と連携し、性教育を実施していく必要があると思います。
いじめの話
保護者から、いじめが解決していないというような話を聞いていたので、実態把握のため、いじめの解消率についての資料請求を行いました。
結果、過去5年間は解消率100%で推移しているそうです。これは驚愕の結果です。いや、良いことなんだけど、100%って完璧ってことですからね。5か年の中で、そういう年がちらほらあるということであれば不思議ではないけど、5年間全部完璧なんてこと、ある?って思います。
全国平均は70%台
文科省が発表しているいじめの解消率に関する全国調査結果を見ると、全国平均としては小学校における解消率は77.3%。中学校における解消率は76.1%とされています。
令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(文部科学省)
そして傾向としては、年々悪化しているということです。なぜなら、ネットやSNSでのいじめが増えてきているためです。
近年、X(旧ツイッター)における開示請求ハードルは下がってきていますので開示請求すればどこの誰が誹謗中傷しているか?というのは確認できるものの、学校現場でそれをやるというのは難しいんじゃないのかなと思います。時間もかかりますしね。
だから芦屋市における100%というのは、そもそも認知が不足しているんじゃないの?と思います。ネット関連のいじめも含んで100%なんてことは有り得ないというのが、全国的なトレンドなんです。
答弁はしっくりこない
答弁では、国の調査は年度末にやっていて、芦屋市の報告は7月末時点だからそこに差があるんですというようなことを言っていました。それってただの数字のマジックで、僕としては納得できない部分がありました。でも何度もそう言われたので、押し問答してもしょうがないと思ってそこはまた別の機会でということにしました。
解消できてないんです…と正直に言ってくれるほうが良いんですよ。実情を正確に把握することで、次の対策を講じることができるんです。そこを矮小化してしまっては、対策ができません。
一般論として、教育委員会は隠ぺい体質と揶揄されることがあります。芦屋市では教育委員会の対応に不満を持った保護者が市を訴え、現在係争中であると報じられています。保護者の信用はどうでしょうか。よりよい教育だなんだっていう話は、子どもたちが心身ともにまっすぐ成長してくれることが前提です。
行政的にはいじめは解消していたとしても、表面上は解決しているように見えても、子どもの心には傷が残る。結果、PTSDを引き起こしてしまうこともあります。
いじめについてはより一層、真摯に対応してほしいと切に願います。
検知は子どもや保護者からの声が大きい
いじめの認知は、子どもたちからのアンケートや保護者、子どもたちからの申し出というところが大きいそうです。いや、自己申告って大変なんですよ。アンケートについても、正直に赤裸々に書けないケースも容易に想像がつきます。
本人はいじめと認識していなかったとしても、「嫌だな」って思うことをされていた場合、子どもたちには少しずつ変化が生じます。嫌なことがあるのに、変化を微塵も感じさせないというのは強メンタルすぎます。
学校だけでなく、家庭でも対応する必要はあると思いますが、学校においても子どもたちの変化に敏感でいてほしいと思います。
そのためには教職員の負担軽減によって、子どもと向き合う時間を増やすというのが必須です。教員がどうとかそういうことじゃなく、自分自身が追い込まれている人は他者に優しくはできません。その人がどうということじゃなく、その余裕がないんです。
だから教職員の負担軽減は、彼らの体調面のこともそうなんですが何よりも子どもたちのために、喫緊の課題として取り組んでほしいと思います。
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