今日は建設公営企業常任委員会。議案はありませんでしたが、陳情審査が1件ありました。
陳情第13号:有機フッ素化合物(PFAS)の環境汚染に関する対応・対策を求める陳情
また、3件の所管事務調査がありました。所管事務調査の資料はこちら。
- 地域公共交通に関する取組について
- 道路公園施設包括管理業務委託の実施について
- 南芦屋浜南護岸等の利用について
陳情については、「結論を得ず」という結論に至りました。陳情趣旨は理解できるものの、水道課の方で既にチェックをされていることでもあるとのことで改めて実施することもないかなという話でした。
デマンド交通の実証実験について
前提条件として。三条町、山芦屋町、山手町、東芦屋町、東山町の一部において公共交通の網から外れる空白地があります。これらの地域についての公共交通機関の代替案として、デマンドタクシー(乗合タクシー)を試行的にやってみようということです。地域の人のニーズとしてはあると思います。アンケートを見ても、300円までなら約85%の人が「利用したい」と考えているそうです。
が、如何せん芦屋の場合、先進的にやられている他市の事例と比較して、対象地域が小さく、利用者数が少ないという問題があります。こういう事業計画を立てる折には、1日当たりの利用者数とかをある程度見込んでおくべきだと思いますが、今日の報告では特にそういう数字は出てきませんでした。
対象者があまりにも少ないという課題
当該地域にお住まいの若い人は基本的には自家用車を使うだろうと思いますので、対象は70歳以上の高齢者となるのかな?ということで、芦屋市が公開している5歳ごとの人口統計から、三条町、山芦屋町、山手町、東芦屋町、東山町の70歳以上人口を見てみます。
70~74 | 75~79 | 80~84 | 85~89 | 90~94 | 95~99 | 100~ | 合計 | |
三条町 | 117 | 126 | 82 | 52 | 22 | 3 | 7 | 409 |
山芦屋町 | 74 | 90 | 52 | 31 | 20 | 4 | 1 | 272 |
山手町 | 134 | 122 | 86 | 67 | 30 | 18 | 1 | 458 |
東芦屋町 | 129 | 137 | 107 | 47 | 45 | 16 | 2 | 483 |
東山町 | 166 | 161 | 112 | 82 | 50 | 19 | 2 | 592 |
合計 | 2,214 |
これはあくまで、5町全体の話です。実際には、5町の中から更に交通網にかからない空白地域に限定されます。面積で言うと対象地域は5町全体の半分もなさそうなので、対象の人数は1000人を切ってしまうんではないかなと思います。そして、対象者全員が利用する訳ではありません。上述のとおり、300円以内なら85%の人が「利用したい」と言っているようなので、トータルの利用者数は800人ぐらいに落ち着くんでしょうか。
市がやるにしても、事業者がやるにしても採算性があまりにも悪いのは明らかです。
運賃はちゃんと安くなる?
乗り合わせずにタクシーに乗る場合、例えば三条デイサービスセンター~JR芦屋駅とかであれば、800円程度で行けるそうです。そして、仮に4人で乗り合わせた場合、1200円以内であれば一人当たりの負担は300円となります。が、実際には三条、山芦屋、山手、東山のエリアを回ってから目的地に行くはずであり、1200円以内に抑えられるのかな?という疑問はあります。4人集まらなかった場合、運賃はどうするんですか?っていうのもありますし。
利用者の側に立ったとしても、実際に運営してみたら、普通のタクシー配車して乗ったほうがお金もあんま変わらんし、早いわ。ってなるような気がしてなりません。
継続のためには芦屋市の持ち出しが必要なはず
他市だと、社会貢献の観点から事業者が積極的にやってくれるという事例もあるようです。芦屋の場合、マーケットがあまりにも小さいということ。対象の地域がかなり限定されてしまうということを鑑みて、市がかなりの財政的な負担を背負わないといけなくなるはず。継続的な事業とするならば、福祉的な観点からどこまで予算を割くのか?というところが鍵になるだろうと思います。
南芦屋花護岸等の利用について
これまでの経緯
これまでの経緯として、以下の経緯がありました。
令和4年10月28日 | 一部開放(試験開放)開始(午前6時~午後8時) |
令和4年12月15日 | 試験開放の時間変更(午前8時~午後8時) |
令和5年8月3日 | 試験開放におけるエリア分け実施(「釣り可エリア」と「釣り不可エリア」を設定) |
令和6年7月6日 | 要望書の受理(南芦屋浜南護岸等での釣り全面禁止要望) |
令和6年7月24日 | 南芦屋浜南護岸等の利用制限について、南護岸等は釣りができないエリアとすることについて通知 |
令和6年7月29日 | 上記制限を一旦延期することについて通知 |
特に令和6年7月からの流れは意味が分かりませんね。行政の判断はそんなに簡単に覆るものなのか。ということで「どうなってんの?」という趣旨で調査が行われました。
釣り禁止→釣り禁止延期となった理由
釣り禁止を判断した理由は以下のとおり。
- 要望書(南芦屋浜10ブロック会からの要望書)を住民の総意として受け止めた
- 従前から続く、釣り起因の迷惑行為が解消していない
- 南護岸は住宅地から近すぎる
南芦屋浜住民でない僕としては、これは妥当な判断だと思いました。これまで、色んな所から聞こえてきていた迷惑行為のこともあるし、議会としても、釣り禁止もやむを得ないよねっていう雰囲気であったことは間違いない。
一方で、釣り禁止を延期とした理由は以下のとおり。
- 要望書が住民の総意ではない
- 意思決定過程において、南護岸にもっとも近接する涼風町自治会が要望書に棄権している
涼風町がとかく混乱している風に見受けられますね。涼風町を中心として、当事者たる住民同士の協議、友好的な話し合いが十分にできている状況なのか。一連の流れはちょっと普通じゃないです。
迷惑行為は今も続いている?
迷惑行為は現状も続いているのか?迷惑行為は今も続いている状況であるとのことです。今年度の5月以降は細かい数字をとっていないようですが、依然として市民からの通報、市委託業者による巡回(9時、11時、15時)で確認できるゴミ放置の状況などは報告されているそうです。
なお、釣り餌放置は年間2000件弱。その他のごみ放置は年間1800件程度報告されているそうです。釣りのシーズン(秋ごろ)になるとゴミ放置の件数も多くなる傾向にあるとのこと。
夜間の状況については、夜間警備を別途実施しており、そこで不法侵入等の件数をカウントしているとのこと。
令和3年度 | 242件 |
令和4年度 | 211件 |
令和5年度 | 198件 |
令和6年度(7月末まで) | 102件 |
ただ、これは護岸+ビーチでの発生件数であるとのこと。釣り目的で侵入したのか、別の目的で侵入したのか?という色分けはできていないそうです。今後は、どのエリアで何目的で侵入されたのか?というところまで把握できるようにしてほしいという要望がありました。ここは確かに大事なところ。
これからの動き
市、県で把握している迷惑行為の件数(ごみ放置、不法侵入等)については委員会として資料請求することが決まりました。当局の準備が終わると、正式な委員会資料として提出されることになります。迷惑行為の実態については、そこで明らかになりますね。
本件、これで終わるものではなく、これからもう一度協議して、最終的な落としどころを探ります。なので、継続して調査するものという位置づけになりました。最終的には本会議での承認が要りますが。
南芦屋浜護岸については、直接的には県が管理しているものであるということもあり、市議会でも割と放ったらかしになってしまっていたところでした。しかし、この度の大混乱を受けて市議会としての監視機能が発動することになりました。これについては、前進に向けての取り組みとして評価できます。
市議として大事にしたいところ
釣りというレジャーを否定するものじゃないです。僕はやらないですが、やりたい人が楽しむ分には大いにやれば良い。ただ、東西南北ある護岸と住宅との距離を見た場合、南護岸は住宅地に圧倒的に近接しています。釣り客がマナーを守ったとしても、臭いとか話声とかアイドリング音とかその他の物音とか。こういうところはどうしても発生してしまいます。迷惑行為はゴミだけじゃない。それは公園の隣に住んでいるからよく分かります。
一部の人の楽しみのために、もし近隣の人が我慢を強いられるというのなら、それはやはり問題がある。僕なら楽しめない。市議としては、レジャーも大事ですがそれ以上に大事なのは市民の暮らしです。
よって、近隣住民への配慮は十分にすべきだと思います。まあ最終的には地元住民の協議ありきだと思いますので、どういう結論になっても地元住民の皆さんの協議の結果であればそれは尊重します。
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