今日は民生文教常任委員会。以下の議案の審査を行っています。
番号 | 件名 |
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第3号 | 芦屋市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例及び芦屋市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について |
第5号 | 令和4年度芦屋市国民健康保険事業特別会計補正予算(第1号) |
第8号 | 令和4年度芦屋市介護保険事業特別会計補正予算(第1号) |
第10号 | 権利の放棄について |
また、以下の所管事務調査の報告を受けています。
- 芦屋市地域脱炭素ロードマップについて(新規)
- 第5次芦屋市男女共同参画行動計画について(継続)
- 第3次芦屋市消費者教育推進計画について(継続)
- 芦屋市中小企業・小規模企業振興基本計画について(継続)
資料はこちら。後日アップされる予定です。
気になるところを書いておきます。
災害援護資金の権利放棄の件
阪神淡路大震災の被災者に対して貸し付けられた災害援護資金について、未償還なものがかなり残っている状況でした。発災から28年が経過していますし、これらの債権について、権利放棄をしますという議案です。
未だ約7400万円の未償還金が残る
未償還件数は54件で金額は利子込みで約7440万円。確かに発災時に家がなくなったり厳しい状況に陥った方を対象として貸し付けられたものですが、28年が経過した後も、これだけのスケールで残っているというのは、やはり生活基盤が崩れてしまうことの恐ろしさを示しているのだろうと思います。
そらそうですね。一般的には住宅はローンを組んで購入するものです。地震保険に未加入だった場合、家が倒壊してしまったら資産が目減りし、ローンだけが残ってしまうことになる。新たな家を建設するとなると二重ローン。賃貸を借りるとしても、ローンプラス家賃。それはやはりきついですよ。阪神淡路大震災以後は、様々な支援メニューが設けられることになりますが、阪神淡路大震災の時はそういう法整備が全然追い付いていませんでしたから、尚のこと悲惨だったと思います。
被災者同士が連帯保証人になることも。制度の整備がなかったことによる弊害
加えて、当時は連帯保証人がなければ貸し付けが行われなかった背景があったそうで、実際には被災者同士が連帯保証人になり、二重返済が生じてしまったりと、結果的には過度の負担がかかり、返済が遅れたという背景もあるそうです。制度の整備が遅れていたことによって色々な支障が出ていたものと思います。
今日のやりとりを聞く限り、踏み倒したろって思ってた人もいたんちゃうかーとか、返した人との不公平感があるから云々という話もありました。確かにそういう人も含まれていたかもしれないが、それは少数派だったんじゃないのかなと。市も、それが分かっているから粘り強くやってきたのではなかろうか?と思うところです。
災害援護資金の償還スキームもちょっとつらいが、県が手を差し伸べてくれている
なお、「災害弔慰金の支給等に関する法律」に基づいて貸し付けが行われた災害援護資金は以下のように国・県から無利子で貸し付けを受ける形で、市民に支払われています。
- 国:2/3
- 県:1/3
芦屋市が権利を放棄したとしても、国や県に対して返済する必要が生じます。芦屋市の場合、上述のとおり、約7440万円の返済が必要になります。
が、県が負担していた1/3については、県が債権放棄してくれたため約2500万円ほどの返済については、市が負担する必要はなくなりました。
阪神・淡路の災害援護資金、借りた被災者の返済免除へ 兵庫県、9市対象に無利子で貸付「課題に区切り」(神戸新聞NEXT)
しかし、国が負担していた2/3の返済については、返済しないといけません。これについても、県が創設してくれた無利子貸し付け制度を活用することで細く長く返していくという手続きを取るとのこと。
阪神・淡路の災害援護資金 西宮など4市が兵庫県の貸付活用へ 国への返還期限、3月末に迫る(神戸新聞NEXT)
本当に、阪神淡路大震災のときは、給付型の公的支援金にかかる制度がなく、貸し付けだけでした。その結果、こうなってるんだから…。
投資の効果が見えづらいこともあり、災害対策は実際に起こらないと動きにくい。
返してくださっている方もおられるので、公平性の観点はあります。ですが無い袖は振れないですし、28年も経過して被災者も高齢化し、もうどうしようもないっていう段階まで来ていますから、致し方ないよって思います。
それよりも、震災がらみの徴収にかかる業務について、一区切りできたというところを好意的にとらえるべきかと思います。
だって今は給付型の公的援護資金の制度も創設されているんですよ?被災した時期によって、市民負担の濃度が異なるというのも理不尽。
被災者生活再建支援制度の創設
阪神淡路大震災が発生したあと、1998年に被災者生活再建支援法が施行されました。それによって、義援金に頼ることなく、国庫から被災者に対して生活再建のための支援金が給付されることになっています。
まあ…給付や融資があると助かるとは思いますが、家を再度購入、建て替えとなると数千万はかかってくるので、やっぱりきついですけどね。自身で地震保険などの加入するなど、自衛もしておくべきかとは思います。
しかし、阪神淡路大震災の際にこの制度があれば、被災者の経済的負担は格段に違っただろうと思います。融資型の災害援護資金の未償還状況についても別の結果になっていただろうと思います。
コメント
コメント一覧 (5)
被災に伴う家屋のがれき撤去は国が補償し私は有難かった。生活資金について此処まで拗れていることを知りました。分かり易いコメントを敬服しています。
僕は当時は小学生だったので、当時の話は知りませんでした。
しかし、阪神淡路大震災が被災者支援の契機の一つだったようです。震災後に給付型の支援金制度が成立しますが、成立後に給付型の支援金を後追いで給付するのは難しかったのかな?とは思います。
委員会で言われていたように、支払い能力がありながら悪意を持って意図的に償還しない!って人がいるなら容赦なく取り立てたら良いと思いますが、実際は恐らくそうではないので、もうこれは仕方ないと思います。
今、阪神淡路大震災が発生した場合、給付型の公的支援制度ができあがっていますから、融資型だけに頼る形にはなっていないと思いますし。