今日は議会主催の議員研修会として、「兵庫県立尼崎の森中央緑地」の施設見学に。一番の目的は施設内にある「旧小阪家住宅」の見学です。

というのも、この「旧小阪家住宅」というのはかつて芦屋市三条町に建てられていた住宅であり、芦屋市指定文化財に指定されていたものだからです。

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旧小阪家住宅とは?

18世紀後期(江戸時代)に建てられていたと推定されるものだそうです。また、江戸時代に庄屋を務めた小阪家が建てたというところに学術的価値もあるとされ、1994年3月23日に芦屋市指定文化財に指定されたそうです。

しかしながら、1995年の阪神淡路大震災で全壊。解体を余儀なくされた後は部材の一部が芦屋市に寄贈され、陽光町の湾岸線下の倉庫に眠っていました。

その後、2016年に兵庫県にお譲りし、尼崎の森中央緑地の中に移築復元していただくという流れになりました。同施設においては、当時の「里山」の暮らしを体験できる施設という位置づけで設置されているそうです。

なお、移築復元されたかやぶき民家は、江戸時代のかやぶき民家としては六甲山麓において唯一現存する建物になっており、2018年には兵庫県における指定重要有形文化財にも指定されたそうです。

ちなみに、かやぶき民家周辺の整備計画もまだ進捗中であり、最終的には以下のような感じになるそうです(尼崎の森中央緑地パンフレットより)

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尼崎の森中央緑地のコンセプトもすごいと感じた

恥ずかしながら、同施設には初めて行きました。かつて工業地であり、自然が育たない環境だったところに「イチから森をつくる」というコンセプトはすごいなと。

森っていうのも、木々が生い茂っているだけではなくて、そこに多様な生物が暮らす生物多様性の環境を実現する。

人々によって失われた自然を人々の手によって復元する。なんかエ○ァとかで見かけるSFっぽい話が尼崎で実行されつつあると。

同施設での取り組みは18年前からやっているとのことで、SDGsの先駆けでもあると思いますし、 兵庫県、エッジの効いた取り組みもやってるやんと思いました。なんか、前の知事のときの兵庫県は恥ずかしかったみたいですけど。

旧小阪家住宅は芦屋市で復元できなかったのか?

文化財って難しいですよね。美術館等で管理できる物品はまだしも建築物は特に。古いが故に、阪神淡路のように自然災害による倒壊等もありますから。

旧小阪家住宅についても、三条町に現存していれば何とか維持できたと思います。文化財保護法もありますので、それを今の市民が見に行くかどうかはさておきとして、未来の人たちに文化遺産として繋いでいく必要がある。

ただ、維持管理には膨大なコストが必要となります。維持管理のためのクラウドファンディングも増えてきていますが、それだけではしんどいので、自立的な資金確保のスキームも必要となると思います。芦屋の場合、旧宮塚町住宅や旧逓信省芦屋別館なんかはうまく利活用できてます。

お店屋さんを兼ねるなど、明確に資金を生み出すスキームを創出した上での展開であれば、芦屋でもやれると思うんですが、文化に触れるための活用という形では、芦屋ではなかなか難しいかな…と思うところです。芦屋のアクセスの良さが逆に仇となり、ちょっと行けば他市にそういう施設もありますしね。

やるなら民間の力を借りながら

なので市民理解と市民利用という両面で考えて市費だけではキツイかなと。あるとすれば、民間を巻き込む形とか、クラウドファンディングを併用する形なのかなと思います。震災後~昨今までは、市単独でやるという考え方が多く、実現に繋げていくのが難しかったのだろうと思います。

「芦屋の文化財を芦屋に残す」というのは、実益はともかくとして考え方としては大いに意義があります。今後、そういうタイミングが来るのであれば、民間の力も最大限に使うことを考えて絵を描いていかないといけないなと思います。