今日は臨時議会がありました。 ちなみに、議会終了後に件のパワハラ騒動についての調査報告を聞く 全体協議会も行われました。

皆さんの関心は全体協議会なんでしょうが、 本会議もとても大事なので両方触れます。 前もって断っておくと、今日は長いです。

本会議について

第49号議案:令和2年度芦屋市一般会計補正予算(第5号)が上程されました。 議案所および議案説明資料はこちら。 審査は、民生文教常任委員会において行いました。結論としては、全会一致で可決。

内容について触れておくと、今回の補正は新型コロナウイルス感染症対策にかかる予算の追加です。 詳しい内容は以下のとおり。

  • キャッシュレス決裁ポイント事業
  • 妊婦臨時特別給付金事業
  • 集団検診等WEB予約システム導入事業
  • 乳幼児健康診査等WEB予約システム導入事業
  • タブレット端末整備事業
  • 感染拡大防止対策事業(市庁舎等)

特に影響がありそうなのは、キャッシュレス決裁ポイント事業と WEB予約システム導入事業かと思います。

キャッシュレス決裁ポイント事業について

  • 目的
  • 以下の点の促進を図るため(市独自施策)
    • 市内経済の活性化
    • キャッシュレス決済の普及促進
  • 期間
  • 10月1日から10月末まで。
  • 対象
  • 大手チェーンを除く市内店舗
  • 内容
  • キャッシュレス決済を行った方に対し、一定のポイントを付与するもの。 ポイント還元率は20%。1回の取引時の上限は1000円で、期間中の上限は5000円。

キャッシュレス決済の普及促進が大きいか

市内経済の活性化というところもありますが、 キャッシュレス決済の普及促進の方が大きいのだろうと思います。 キャッシュレス決済の普及率が上がると、こうした経済支援がしやすくなります。 金券をばら撒いても成果としては微妙だったねーというのは過去の政策でも明らか。

金券をばら撒く場合、使った金額にかかわらず、一定のコストが生じます。 また、スピード感というところにも大きな弊害があります。

キャッシュレス決済のポイント還元という形での支援だと、 実際に取引があった金額に応じて後払いで支出する形式になります。 仮に事業が不発だったとしても大きな損失は残りません。

ネット通販隆盛の時代。店舗販促がどれだけ有効か

と言いながら、ネット通販が大流行している昨今です。 キャッシュレス決済のポイントが大きくなったとて、 果たしてどこまで店舗での取引が拡大されるか?という懸念はあります。

期間がかなり限定的ですが、施策の有効性を見極めるためにも 結果・効果の総括はきっちりやってもらいたいと思います。

乳幼児健康診査等WEB予約システム導入事業について

これまでは、日時は決め打ちで連絡が届き、 その日時が難しい場合は別途調整という段取りで検診が行われていました。

24時間対応のWEB予約システムが導入されると、 利用者のライフスタイルに合わせた日程調整が柔軟にできるようになります。 これは大きいのかなと。

とりわけ、乳幼児の保護者の方々は比較的若年層に偏ります。 最低限のネット利用が定着しているであろう世代で、ネット対応になっても 大きな不便を被るという世帯は少ないだろうと想像します。

個人的にも、予約だけならネット予約の方がラクチンです。 色々なサービスの利用予約がネットだけでできるようになると、本当に楽です。

ネット環境に疎い高齢者層のことを考えると、一概にすべてをWEB化するのが適当だとは言いませんが、 利用が若年層に傾倒しているようなサービスについて、どんどんWEB対応にしていただきたいと思います。

全体協議会について

かなり分量のある報告書が出てきました。 新聞記事を見てもなんのこっちゃか分からないと思うので、 一応、じっくり書いてみます。

本来、分かりやすい内容にするには先に結論を書くべきでしょうが なかなかややこしい案件。誤解を避けるために結論は最後に書きたいと思います。

誰が調査を行った?

パワハラの調査については「芦屋市ハラスメント調査委員会」という新設の 組織にて調査が行われました。

この組織は6月29日に要綱が作成されました。 必要が認められるケースにおいては、外部委員を含む委員が集められ 調査が行われるということになります。

芦屋市ハラスメント調査委員会設置要綱(芦屋市)

副市長が委員長を務める内部調査機関ではあるものの、 芦屋市と関わりのない弁護士などの外部委員を加えることが義務化されており、 公正中立な立場での調査ができる組織になっています。

今日は、同調査委員会の委員長である副市長から説明を受けています。

新聞報道で言われていたことについて

芦屋市幹部がパワハラか「耐えられない人格否定」(神戸新聞NEXT)

6月の一般質問で市議が取り上げたことで一躍話題となりました。 6月17日の新聞記事を見てみます。

ある職員に対し、パワハラと言われても仕方ない疑惑があったと書かれています。

男性職員は男性幹部の所管する部署へ異動になってから、 数年にわたって仕事の進め方などについて「やれと言ったらやれ。俺の命令が聞けないのか」 「あんた、頭おかしいんちゃう?」などと言われたとする。 男性職員は「いずれ体にまで危害が及ぶのではないかと恐怖を感じた」と話す。

この報道のきっかけは、16日に行われた一般質問。 一般質問では、10人ほどの職員による「依頼書」が提出されており、 それから10か月が経過しているのに、どうなっているのか?ということが中心でした。

16日に開かれた市議会一般質問では、10人ほどの職員が昨年8月に男性幹部による パワハラの調査を求める市宛ての「依頼書」を提出したとし、市議が質問。

確かに、10人ほどの職員がパワハラを訴える「依頼書」は本件を語る上でのポイントです。 「依頼書」によるパワハラの訴えが出たあと、10か月放置されていたというのであれば、 これは組織として由々しき事態です。根本から是正しなければならない事態だと思います。

「依頼書」に関する調査結果の報告

上述の「依頼書」の内容は、以下のとおりと報告されました。

X課の職員8名が、令和元年8月9日、人事課長に対し時間外勤務の申請却下に関する申出書を提出した。

要は、上長の指示で時間外勤務をしたんだけど、上長が許可してくれなかった。 申請却下されたことを訴える申出書でした。いわゆる、労務管理の改善についての申出書です。

「申出書」はパワハラを訴える内容ではなかった

この「申出書」が大きなミスリードを招く要因でした。 前述の記事等では「申出書はパワハラを訴える内容である」という前提に基づいた指摘に終始しています。 本件、僕も議会で初めて聞いた口ですから、申出書=パワハラを訴える文書であると認識していました。

ですが、外部委員を加えた調査委員会で徹底的に調査したところ、 実際にはハラスメントを直接的に訴えるものではありませんでした。

調査の中では、こうも触れられています。

人事課長は申出書を受け取った後、調査対象職員との面談を実施。 X課の職員とは令和元年8月13日から令和2年5月14日にかけて合計22回に亘ってヒアリングを 重ねており、問題を放置していたわけではなかった。

また、22回のヒアリングの中ではパワハラを検知できなかったという答弁もありました。

要するに、市としては、上述されている厳しすぎる叱責や罵倒という類。 いわゆる一発レッドカードとも言えるようなパワハラについては、 新聞記事が出るまで認知していなかったということだったそうです。

上述の10か月が経過してるのはどうなってんねん?という点については、 10か月前の申出書については、パワハラであるとは認知していなかった。 また、労務管理の改善については、現在進行形で対処していたとも言えます。

結論として、パワハラは認定されました

新聞報道で言われていた厳しい叱責や罵倒については、関係職員・加害者本人へのヒアリングを進める中で パワハラと認められる言動として、以下の2点が見受けられたという状況証拠が揃いました。 恐らく、加害者側の同意も得られたということでパワハラ認定⇒懲戒処分という対応が採られたのだろうと思います。

  • 職員Aに対する大声での叱責及び精神的な攻撃
  • X課の職員に対する過大な要求

具体的にはどういう言動があったか?というのは、新聞に書いてるとおりです。 でも、個人的には、それはあまり関係ないかなと。大事なのは以下の点だと思っています。

  • パワハラ認定があったという事実。
  • パワハラを10か月放置していたというのは事実誤認だったということ。
  • 当該職員については本日付で懲戒処分が下された。

マスコミを巻き込むべき事案だったか

こうしてポイントを列挙すると、マスコミを巻き込んで対応すべき案件だったのかは疑問です。 ハラスメント事案があってはならないのは間違いありませんが、一般的なハラスメント事案だと思います。 一般的なハラスメント事案ということは、水面下で粛々と解決に向けて進める性質の案件ということです。 マスコミが騒ぎ立てて解決を見出す案件ではありません。

仮になかなか望むべく結果に至らなかったとしても、その決着は司法の力を借りるべき。 ハラスメントは、人権も絡む極めてセンシティブな案件であるからです。

個人的に思うこと

ハラスメントがあってはならないという前提は当然あります。 しかし、個別事案については組織全体の話とはまた別物です。 事実が認められた後は、然るべき懲戒処分を下し、再発防止に努めるまでです。

それを踏まえ、今回の件で一番問題になっていたのは 「パワハラがあったとして、それが隠蔽されていたか否か?」という点だと考えています。 もし、これが事実なのであれば、それこそ組織そのものをやり直す必要があるぐらいの大問題です。 一般質問で取り上げる必要性も意義もあったのでしょう。

しかし、弁護士も入った形で公正中立な立場で調査をしたところ、その事実は見受けられなかった。 となると、あとは個別事案の対処の話になってきます。今回の件における対応が100点満点でなかったことは、 調査委員会からの指摘でも明らかです。この点については、しっかり検証しなければならないのは言わずもがな。

再発防止のための検証が最重要課題

また、仕組みに不備があるのも結果が証明しています。 誰かが恣意的に物事の本質を隠していたわけでもなかったわけですし、 これ以上、責任を追及してもあまり意味がありません。

これから先、求められるのはハラスメントを未然に防ぐための仕組みの再構築。 そして発生したあとに粛々と解決に導いていくためのフローをブラッシュアップする工程です。 問題を暴いて終わりっていう訳にはいきません。

20日には総務常任委員会が開かれ、本件に関する所管事務調査が行われます。 個人的には、これからどうするか?が最重要課題であると考えるわけですから、 過去の話をほじくってどうこうというよりも、これからの話に着目しながら議論を展開したいと思います。