7月13日にJR芦屋駅の駅舎改良の件がプレスリリースされました。 さっそく、神戸新聞で取り上げられています。

JR芦屋駅、23年度にリニューアル 上質・品格あるデザインに(神戸新聞NEXT)

僕は建築美とは何ぞや?とかは素人なので、よくわかりません。 ですが、なんとなくスタイリッシュでおしゃれな感じがする外観になっているのは感じます。

駅舎開発と駅前開発は一体で考えるべき

利用者の立場からすると、駅舎と駅前は一体で考えます。 要は、駅周辺の利便性やデザイン性がどう変わるか?というところだけだと思います。

まだわかりませんが、場合によっては駅舎はきれいけど、駅を降りると今の景色が広がる… という最悪のケースになるかもしれませんね。利用者目線でいうと、それはどうなんだろうか。

上述の記事によると、同社は「駅のリニューアルは再開発と一体的に進めることでより高い効果が望める」 としています。まさにその通り。両者は相乗効果の関係であり、1+1=2にはならんと思います。

芦屋に高級マンションがどんどん建っている(建設中)な事実

また、再開発はかなり広範囲に影響を及ぼすものであるはずです、 市議会の議論では、事業単体の効果がどうなんだーっていう話に終始していますが、 それだけを以って議論しても、本質は掴めないと思っています。

広範囲に影響が波及することも大事にファクターですが、 個人的には、「再開発を契機にどれだけの民間資本が芦屋市に投じられることになるのか?」 というところが一番大事だと思っています。これも、結局フタを開けてみないと分からない部分でもあります。

ですが少なくとも、JR周辺でお高級なマンションが相次いで建設されているところを見ると、 民間事業者である各デベロッパは再開発後の芦屋のポテンシャルを高評価しているんだろうと思います。 民間事業者が収益性を見誤ることがないとは言いませんが、億ション建設計画はいい加減な判断ではやらないでしょう。

費用負担についてのお話

再開発と駅舎開発。似てるようでちょっと違う二つの事業を混合してる人もいそうなので、 ちょっと整理しておきたいと思います。この辺を見誤ると、判断が混沌化しそうな気がしますので。

駅舎改良は2018年に締結した「JR芦屋駅改良工事等の施行に関する協定」に基づいて計画されています。 この協定書は、議案として上程されているものなので、市のHPで普通に見られます

JR負担が小さくなっているカラクリ

上述の新聞記事では総額が出ていますが、議案書の方ではもう少し細かい内訳が出ています。 リンククリックして見るのダルいという人のために、以下に転記しておきました(単位:1000円)

 総額市負担JR負担
鉄道施設支障移転2,036,8372,036,8370
駅改良1,717,8021,145,201572,601
都市施設工事支障移転118,366118,3660
都市施設358,649358,6490
総額4,231,6543,659,053572,601

新聞記事だけを見ると、「JRの費用負担分が小さすぎへん!?」って思うのは当然です。 駅舎改良については、基本的には市の事業や市の持ち物については芦屋市が持つという形になっています。 芦屋市の負担が多いということは、「駅舎改良」と言いながら、実際には市の事業や市の持ち物になる内容が多いってことです。 なので、公共事業に近い案件なのかもしれませんね。

芦屋市の負担が大きくなっている理由、内訳の内容を整理しながらご説明します。

  • 鉄道施設-支障移転
  • 再開発事業を進めるにあたり、JR側が使用している施設の中で再開発の支障になる箇所があります。 その施設については、別の場所に移転してもらう必要があります。移転費用については 芦屋市の事業を進めることで生じる金額なので、市が100%を負担します。 ただし、再開発事業の国庫補助メニューを活用する予定で、市の実質負担は半分となります。
  • 鉄道施設-駅改良
  • その名の通り、駅舎を改良する金額です。近隣市で行われている駅舎改良と相場感を合わせた費用負担として産出されたそうです。 市負担は2/3でJR負担は1/3となっています。これについても、市負担のうちの約半額を都市・地域交通戦略推進事業の補助メニューを 活用予定となっているため市の実質負担は半分になります。
  • 鉄道施設-都市施設工事支障移転
  • 都市施設としてエレベーターやエスカレーター等をつくる際に生じる、既存の駅舎の部分の改修・改築・移転等に伴う工事費用の負担です。 エレベータやエスカレータについては都市施設として位置づけとなり、工事終了後に芦屋市の持ち物になります。 駅利用者が一番たくさん使うものだし、駅の持ち物じゃないんかな?っていうのはありますが、市の持ち物になります。 なので、市の負担となります。これについても国庫補助を活用する予定だそうです。なので、市の実質負担はもう少し小さくなります。

再開発とは直接関係ない案件ではあるものの

今、再開発が揉めに揉めているのはご存じのとおり。 JRの駅舎開発については、再開発事業とは切り離された事業であるため、 芦屋市の再開発がどうなろうとも予定通りに進むことになります。

と言いつつも、上述の支障移転の分の約20億ほどのコストについては再開発とリンクしているものです。 予定通り再開発が行われるのであれば問題ないのですが、仮に再開発をしない という方向になった場合が問題。

再開発しない場合、20億の負担がまるまる市に乗ってくる

JRとの協定書は既に交わしており、JRは協定書に基づいた改修の設計を進めています。 なんなら、工事に入っているところもあります。なので、今更変更はできません。 再開発をしなかったとしてもJRは当該施設を移転させますし、その費用の約20億円ほどの お金は市が支払う必要があります。これは芦屋市にとっては支払い義務です。

また、約20億円の負担のうち、半分を再開発関連の国庫補助で賄うとされています。 仮に再開発をしないのであれば、当然、国庫補助は降りてきません。そうなると、 この20億円についてはまるっと市が負担しないといけなくなる。

ここ最近の再開発関連の議論を聞いていても、こっちの話は出ていませんでした。 また、2年ほど前の話だったので僕自身失念していましたが、改めて見てみると、 意外なところの損失に繋がることが分かってしまいました。 なかなか難しいですね…。