今日は視察二日目。静岡市において、防災についての視察を行いました。午前中は静岡市役所にて「自主防災組織育成事業について」を視察。午後は静岡県地震防災センターにて「行政から見た地震への対応等について」を視察しました。

静岡市役所での視察

静岡市役所は国の登録有形文化財に指定されているとのことで、非常に趣きのある施設でした。ただ、おいそれと改装できないようで、空調設備に難があるなど職員さんとしての使い勝手はもうひとつとのことでした。ですが議場も含め、とても素敵な建物でした。

防災指導員制度

目的は「自主防災活動を推進するため地区の防災リーダーとして、住民の防災対策の啓発活動を行い、連合自主防災会長を補佐し、防災活動の企画・実施に参画する」とのこと。

連合自主防災会ごとに1名を選任するようにしており、任期は2年。防災指導員になるための資格などの条件は不要だそうです。また、なり手が見つからないような防災会においては、市職員によるサポートありきで引き受けてもらうようにしているそうです。

なので基本的にはなり手不足に陥ることなく、制度が継続できているようです。ただ、やはり現役世代のなり手は少なく、定年退職された方が務めることが多いとのこと。

地域防災リーダー育成研修会

地域の自主防災活動において、他の模範となって防災活動を推進していく意欲や知識を持った人材を育成する趣旨で行われています。

元々、丸一日の研修を行っていたそうですが、それだと参加が困難ということで、半日のカリキュラムに変更したそうです。カリキュラムを受講完了すると「修了証」を授与するとのこと。昨年度実績だと、一つの会場において約100人ほどが受講したそう。地域住民の防災への関心の高さが伺えます。

防災に関連した補助金

自主防災会に対し、以下の補助金制度を設けています。

  1. 防災資機材等購入費補助金
    • 補助対象経費:1/2以内
    • 上限20万円
  2. 可搬消防ポンプ等購入費補助金
    • 本体購入費:40万円
    • 資機材購入費:1と同じ
  3. 防災倉庫設置費補助金
    • 補助対象経費:1/2以内
    • 上限30万円
  4. 防災倉庫用地借地料補助金
    • 補助対象経費:1/2以内
    • 上限5万円
  5. 避難路等整備費補助金
    • 補助対象経費:1/2以内
    • 上限30万円
  6. 避難路等整備費補助金
    • 補助対象経費:1/2以内
    • 上限30万円

平成28年度の実績は以下のとおり。

 補助金額(千円)申請件数
資機材等購入費35,843405
ポンプ等購入費2,79924
防災倉庫設置費6,73640
防災倉庫用地借地料1,75666
避難路等整備費6002

補助金が出るということは、自主防災会が費用負担をする必要があります。施設整備や備品購入について、行政任せではなく、自主防災会が自発的に投資を行うことで地域の防災力が高まっているとのこと。

防犯意識の醸成

必ず発生すると言われている東海地震の影響が大きいようで、そもそもの意識が高いようです。

昭和53年(1978年)に地震を予知し、地震による災害を防止・軽減することを目的とした「大規模地震対策特別措置法」(以下、「大震法」)が施行されました。また、平成13年(2001年)には、中央防災会議(議長:内閣総理大臣)の専門調査会において、大震法施行後から20数年の間に得られた地震学の知見や観測成果をすべて取り入れ、それまで想定していた震源域についての見直しが行われました。その結果、上の図でナス形の曲線で囲まれた領域を震源域(その内側のプレート境界が破壊して動く)と考えるのが最も妥当と判断され、現在に至っています。

ひとたび東海地震が発生すると、その周辺では大変な被害が生じると予想されます。そこで、東海地震の発生によって著しい被害が予想される地域が、大震法第3条第1項により「著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災に関する対策を強化する必要がある地域」(「地震防災対策強化地域」)として指定され、数々の防災対策の強化が図られています。下図の黄色で塗られた領域が、現在の地震防災対策強化地域です(静岡県全域と東京都、神奈川・山梨・長野・岐阜・愛知及び三重の各県にまたがる157市町村、平成24年4月1日現在)。

気象庁(東海地震とは)

また、一般の人のTwitterなどから見ても、地震に対する高い意識が感じられます。
【地震・津波】静岡県民最強伝説(NAVERまとめ)

防災に対する意識の定着は、一朝一夕では難しいかもしれません。コツコツと広報を続けていき、少しずつでも意識向上を図っていく必要があるのだと思います。

ちなみに余談ですが、視察終了後に議場を見せていただきました。議場の全ての座席(傍聴席も含む)にヘルメットが設置されていたことに驚きました。こういうところにも静岡市さんの防災意識の高さが見てとれます。

静岡県地震防災センターでの視察

静岡県地震防災センターは静岡県の施設です。体験しながら地震防災について学ぶことが出来る施設だそうです。
https://www.pref.shizuoka.jp/bousai/e-quakes/

設置の背景

大規模地震対策特別措置法が制定されたことをきっかけとしてつくられた施設で、静岡県民の防災意識向上のための施設として位置付けられています。

同じような他の施設との違い

  • 様々な見学コースの設定(DVD映像は6ヶ国語に対応)
  • 要望に応じた各種研修・講話・訓練(DIG、HUGなど)

DIGとは

Diaster Imagination Gameの頭文字をとったもの。災害図上ゲーム。参加者が大きな地図を囲み、地震被害想定や防災関係施設を記入しながら、大規模災害時の対策を考え、自由に議論、意見交換する。
特集 想像力を高めて「もしも」に備える! 災害をイメージし、防災につながる行動へ【コンテンツ編】(内閣府 防災情報のページ)

HUGとは

避難所(H)、運営(U)、ゲーム(G)の略。防災訓練がマンネリ化している一方で、大規模災害時に避難所がうまく運営できるか不安に思っている自主防災組織用に静岡県が開発した訓練ゲーム。英語の hug とのダブルミーニングになっているようで、被災者をやさしく受け入れる避難所をイメージしているらしいです。
HUGってなあに?(静岡県HP 静岡県地震防災センター)