今日は芦屋市議会主催の議員研修会でした。今日の研修会は2部構成。総務省と環境省からそれぞれご担当者様にお越しいただき、以下の内容についてご講演いただきました。

  • 地方公共団体間の広域連携について(総務省)
  • ごみ処理広域化に係る先進事例・課題について(環境省)

現在芦屋市では、ごみの処理場を西宮市と共同で設置することができないか協議を進めているところ。なので「議員研修会」と銘打ってはいますが、関係する所管の職員さんにも研修に参加いただきました。両市の職員さん同士の協議ですから議員の入る余地はありません。ですが両市にとって少なからずメリットがあるはず。良い方向で進んでもらいたいと思います。

さて、備忘録の意味も込め、それぞれの内容について簡単に紹介しておきたいと思います。

地方公共団体間の広域連携について(総務省)

市町村合併から広域連携へ

昭和の大合併と平成の大合併にて、人口規模の小さな市町村を合併。平成の大合併が終わった時点で、大方の極小自治体は統合された。ただ、立地的に合併が困難だった地域については人口規模の極めて小さな自治体が残っている。

市町村合併は究極的な広域連携と言える。立地条件などで合併ができなかった極小自治体については、持続可能なサービス体制を維持するのも困難な状況と言える。そういった自治体の救済。また、事務の効率化などを考えると、自治体間の柔軟な広域連携が求められる。

新たな広域連携について

地方圏と三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)とでは事情が異なる。

地方圏では、地方中枢拠点都市を中心とした連携が求められる。また、地方中枢拠点都市から距離がある等、市町村間の広域連携が困難な場合は都道府県による補完も選択肢に含まれる。

三大都市圏では、同規模の規模・能力がある都市の間で水平・相互補完的、総務的な役割分担が求められる。まずは喫緊の課題である公共施設や介護保険施設のあり方等について連携を検討。これを端緒として「連携協約」に基づく連携を促進。

連携協約とは?

  1. 柔軟性
    • 政策面での役割分担についても自由に盛り込むことが可能。
      例)図書館はA市で、音楽ホールはB市で整備するなど
    • 別組織を作らずに、より簡素で効率的な仕組みとすることが可能。
    • 1対1で連携協約を締結可能。
      複数の事業を行うにあたり、事業ごとに異なる自治体の組み合わせとすることが可能。
  2. 安定性
    • 地方公共団体間の安定的な連携
      締結する際の協議について、議会の議決が必要。
    • 紛争解決の手続きがあらかじめビルトインされている。

ごみ処理広域化に係る先進事例・課題について(環境省)

一般廃棄物をめぐる状況

循環型社会

マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルの推進やごみ焼却による発電効率が求められる。 施設規模が大きくなればなるほど、発電能力の付与が容易になる。それにより、発電効率も向上する。

ダイオキシンの問題

以下のような状況であればダイオキシンが発生しない。

  • 大規模なごみ処理施設
  • 24時間連続稼働(燃やし続けるだけのごみの総量が必要)

それぞれの自治体で小規模なごみ処理施設を設けている状況ではダイオキシンの抑制が難しい。よって、広域化の必要性が生じる。

ダイオキシン等については、人体に影響するものであるため必須な対応として守られている。現在ではほとんど排出されていない。

広域化の促進

広域化のメリット

  • マテリアルリサイクルの推進
  • 熱回収の効率化
  • 公共事業費の縮減
  • 災害廃棄物対策
    ⇒災害でも止まらない強靭な施設が求められるが、高コスト

広域化推進の課題

  • 施設の更新時期のアンマッチ
  • 収集運搬の枠組みや処理方式の変更が困難
  • 用地選定、市町村間の費用負担の調整が困難
  • 議論を進めるための調整役の不在

ごみ処理広域化の取り組み方法

組合設立

最もメジャーなスキーム。近隣市町村が構成員となる一部事務組合、広域連合などを設立。一部事務組合、広域連合等が構成市町村のごみ処理を実施。

以下のメリットが考えられる。

  • 施設数が減るため、トータルコストの削減と環境負荷が軽減される。
  • 資源物売却における交渉力の向上(小規模自治体だと買いたたかれる)

考えられる課題は以下のとおり。

  • 一部事務組合、広域連合等の設立に伴う事務が必要。
  • 自治体間の合意形成までに時間がかかる(主に場所の選定)

ごみ種別処理方式

複数の市町村において、ごみの種類ごとに分担を決定。分担されたゴミ種類については、他市町村のごみを受け入れて処理。

以下のメリットが考えられる。

  • 施設数が減るため、トータルコストの削減と環境負荷が軽減される。
  • 資源物売却における交渉力の向上(小規模自治体だと買いたたかれる)

考えられる課題は以下のとおり。

  • 自治体間の合意形成までに時間がかかる(主に場所の選定)

大都市受け入れ

大都市が周辺市町村のごみを受け入れ、処理する。周辺市町村では、処理施設が不要となる。

以下のメリットが考えられる。

  • 施設数が減るため、トータルコストの削減と環境負荷が軽減される。
  • 資源物売却における交渉力の向上(小規模自治体だと買いたたかれる)
  • 大都市施設の余力が活用される。
    ⇒ごみ総量が減っている(市民の努力+人口減少)ため、施設に遊びがある
  • 周辺市町村が他のことに予算を回せる⇒レベルアップに繋がる

考えられる課題は以下のとおり。

  • 周辺自治体にごみ処理のノウハウが蓄積されない
    ⇒大規模災害で発生するイレギュラーなごみについては自分たちで処理する必要がある。

相互支援

施設にはオーバーホールが必要。その際、他の市町村のごみを受け入れ合う。予備施設を持つ必要が無くなり、施設のダウンサイジングが可能。それにより、コスト削減と環境負荷の低減に繋がる。ただし、負担が片方の自治体に偏る可能性がある。

民間活用

市町村が民間の廃棄物処理業者にごみ処理を委託。民間処理業者が複数の市町村のごみ処理を委託することにより施設が集約される。

以下のメリットが考えられる。

  • 施設数が減るため、トータルコストの削減と環境負荷が軽減される。
  • 資源物売却における交渉力の向上(小規模自治体だと買いたたかれる)
  • 大都市施設の余力が活用される。
    ⇒ごみ総量が減っている(市民の努力+人口減少)ため、施設に遊びがある
  • 周辺市町村が他のことに予算を回せる⇒レベルアップに繋がる

以下のような課題もあり、純然たる民間委託はまだ行われていない(実例ケースも3セク)

  • 自治体にごみ処理のノウハウが蓄積されない
  • 民間事業者の倒産リスク
  • 独占・寡占状態になったときの危険性